研究

人工知能、ディープラーニング(深層学習)、ウェブ・ビッグデータに関する研究を行っています。それぞれ下記に紹介します。またこの他にも、人工知能・ウェブにおけるビジネスモデルや、起業に関する研究、金融に関する研究なども行っています。

ディープラーニングの研究

人工知能は約60年の歴史がある分野ですが、これまでの研究では、知能の本質についてほとんど分かっていません。ところが、最近、ディープラーニングと呼ばれる技術が生まれ、大きな注目を集めています。これは、人工知能がこれまで実現できなかった壁である「表現」の獲得の問題にひとつの方向性を提示しています。本研究室では、以前から表現の問題に注目しており、ディープラーニングをはじめとする新しい人工知能技術について研究しています。

研究室では、ディープラーニングの輪読を毎週開催するとともに、DL hacksという実装に関しての勉強会も開催しています。2015年度からはディープラーニングの講義を行い、2018年度まで累計で1000人以上の学生・社会人が講義を受講しました。修了生が人工知能の学術・産業界で広く活躍しています。

ディープラーニングに関する研究としては、深層生成モデルの研究、深層強化学習に関する研究、画像認識に関する研究、自然言語処理に関する研究などを行っています。特に、深層生成モデル(さらには世界モデルの構築)は今後の鍵となる技術と考え、多方面から研究を行っています。

人工知能の動向については、2015年3月に刊行された「人工知能は人間を超えるか」が参考になると思います。「大川出版賞」「ビジネス本大賞 審査員特別賞」を受賞しました。また、モントリオール大学Bengio先生らの著書である"Deep Learning"を、研究室メンバーが中心となり翻訳しました。専門的な本ですが、名著のひとつです。

[1] 松尾 豊:人工知能は人間を超えるか ーディープラーニングの先にあるものー、KADOKAWA、2015年3月
[2] 岩澤 有祐, 鈴木 雅大, 中山 浩太郎, 松尾 豊 (監訳),Ian Goodfellow, Yoshua Bengio, Aaron Courville(著),「深層学習」,角川,2018

ウェブ工学の研究

ウェブの世界には、新しいサービスが次々と生まれています。情報の流れに関する制約がなくなったことで、新しい情報の流れが生まれ、新しい価値が生まれています。本研究室では、2000年ごろからウェブに注目し、ウェブサービスの構築や、ウェブにおけるデータ分析を行ってきました。

これまで、研究室から数多くの新しいウェブサービスが生まれました。また、ソーシャルメディアの分析では、世界でもトップクラスの研究グループであり、[2]の論文は、Twitterだけから地震(あるいは現実世界のイベント)が起こったことを検知する技術を世界で初めて示すことで「ソーシャルセンサ」という概念を提案したもので、これまでに3000件以上の引用を得ています。ウェブ国際会議(World Wide Web Conference)において、2014年と2016年にはウェブマイニングトラックのチェアを務めました。また、選挙や市場の予測や分析などの研究も継続的に行っています。

[3] T. Sakaki, M. Okazaki, and Y. Matsuo: Earthquake shakes Twitter users: Real-time event detection by social sensors, Proceedings of the 19th international conference on World Wide Web (WWW2010), 851-860, 2010

消費インテリジェンス

企業の購買データや、ウェブサイトのログデータをもとに、顧客の嗜好を分析し、商品の特徴を把握したり、顧客の購買パターンを見つけるなどの研究を行っています。すでに多くの企業と共同研究を行った実績があります。最終的には、レコメンドシステムにつなげたり、営業のためのツールとして活用されることもあります。

2014年からは、グローバル消費インテリジェンス寄付講座(GCI寄付講座)を運営しており、経済産業省および国内の10社から協力を得て、データ分析に関わる教育プログラム、および研究活動を本格的に行っています。これまでに、約1000人の学生がこの講座を受講し、修了生が各分野で活躍しています。ビジネスの考え方を持ち、かつ人工知能・機械学習を使いこなせる人材が活躍することで技術の普及につながっています。

企業との連携

グローバル消費インテリジェンス寄付講座では、(株)リクルートホールディングス、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(株)、(株)ドワンゴ、パナソニック(株)、(株)ローソン、(株)インテージホールディングス、(株)KPIソリューションズ、(株)ウェルネス、フィールズ(株)、(株)経営共創基盤、トランスコスモス(株)の各社から支援をいただきました。

また、情報理工学研究科の先端人工知能教育学寄付講座の立ち上げにあたっては、トヨタ自動車(株)、(株)ドワンゴ、 オムロン(株)、パナソニック(株)、(株)ディー・エヌ・エー、(株)野村総合研究所、(株)みずほフィナンシャルグループ、三菱重工(株)に多大なご協力をいただきました。

将来に向けての基礎研究をしっかり行いながら、同時に、広く産業界に貢献するような研究室の形を目指しています。

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